営業戦略担当役員メッセージ

リアル店舗、EC事業の2チャネル、

家電、エンターテインメント、リフォーム、

モバイル通信、サポートビジネスの5カテゴリで 

「あれば便利な会社」から 

「なくては困る会社」への変革を 

目指します。

代表取締役 兼 副社長執行役員

営業戦略担当担当

高橋 徹也

前中期経営計画の振り返り

前中期経営計画である「JT-2023 経営計画」においては、コロナ禍、定額給付金の特需もあり初年度で目標を達成しましたが、その後は2年連続の反動に見舞われ下方修正目標についても未達で終わっています。一方で、新規出店偏重の拡大路線を避け、個別店舗の拠点シェア拡大を目指した結果、店舗数は18店舗減少しましたが(ドラッグストア譲渡6店舗含む)、1店舗当たりの売上高は、増加傾向で推移することができました。厳しい環境下でしたが、その中で「戦える基盤づくり」という一定の目的は達成できたと考えております。

環境の変化

家電業界は、買い替えサイクルの長期化、ライフスタイルの変容、購買行動モデルの変化など、これまで経験したことのない状況に置かれています。このような市場環境の変化に対応することは勿論、モノからコトへ、さらに価値提供を目指す必要性がより強くなっており、今後の家電業界はD to C(Direct to Consumer:メーカー直販)、GMS、EC専業、異業種参入を巻き込んだ価値提供レベルの競争ステージに入っていくと考えなければなりません。労働人口の減少、高齢化社会、それに伴う市場の縮小も予想される中、当社においても新中期経営計画の策定に際し、SWOT分析の再定義を行いました。

 

時代背景から耐久消費財に対するお客さまニーズも大きく変化し、本当に役立つもの、価値あるものを選ぶ購買行動が顕著になり、選択するためのコストは価値という認識も生まれてきました。商談においては、販売員自らの体験、知見に加えてお客さまの要望を聴き取る「傾聴力」、お聴きした内容から最良のプランを組み立てる「提案力」、わかりやすく伝える「伝達力」といった、総合的な販売力が求められる時代に突入しています。これからは長く置き去りにされてきた「人」や「価値」という考え方を軸とした原点回帰の時代になると考えます。

「JT-2025 経営計画」

「JT-2025 経営計画」(以下、新中計)は、2030年までの8年間を一つのパッケージと位置づけ、2030年にあるべき姿に到達するために、これからの3年間で何をなすべきか、バックキャスト思考で検討を重ねた内容となっています。まず、新中計を推進するための経営基盤として、サービスインフラ※1、情報システム、ブランディングの「事業基盤」が、リアル店舗、EC事業の「2チャネル」、家電、エンターテインメント、リフォーム、モバイル通信、サポートビジネス※2の「5カテゴリ」を支え、「あれば便利な会社」から「なくては困る会社」への変革を目指し、事業成長に取り組んでまいります。

 

サービスインフラは、当社100%子会社のジョーシンサービス株式会社が、長年お客さま宅内での配送、設置、工事作業を担い積み重ねてきた信用力に加え、自社研修センターにおける研修・訓練で培った技術力を武器としております。

 

情報システムでは、作業の機械化・システム化による人的リソースの拡張、及びそのリソースを活用した営業力と営業品質向上を目指しています。また、オンラインブース※3の設置、オンラインによる契約代行をスタートしました。オンライン技術は我々のビジネスにおける時間と距離の短縮を可能とし、さらにはサポートの強化、新規ビジネス、新規サービスの創出を目指しております。

 

さらには販売員の所持しているPDA端末、各コーナーに設置されたタブレット型情報端末、キャッシュレス・タッチPOSにより社員動線の短縮、各コーナーでの商談完結も可能となり、お客さまにも販売員にもストレスの少ない営業活動が実践でき、これによって販売員1人当たりの売場面積を10%程度拡大することが期待できます。

 

これら3つの事業基盤をもとに、リアル店舗、EC事業の2チャネルを使いお客さまへコト価値の提供を進めるためにも、チャネル・プロダクト同士の融合・連携により競争力を強化していきます。

 

※1 サービスインフラ:配送、設置、工事の体制・能力
※2 サポートビジネス:リユース、各種サポート、メンテナンスなど基幹事業の競争力強化、事業領域の拡大を目指すカテゴリ。
※3 各店舗に電話ボックス型のブースを設置、動画、音声を用いたオンラインによる契約代行を開始。手元資料用のカメラも装備しており、サポートから契約事務まで幅広い活用を想定しています。

ファンベース戦略

当社成長戦略の核となる施策が「ファンベース戦略」です。当社は会員戦略を展開しており、1年に1度でもお買い物をいただいた会員さまをアクティブ会員さまと定義、その会員さまの来店回数、お買い上げ金額をモニタリングしており、年次の変化もすべて掌握できる環境が整っております。ファン会員さまの定義は、年間お買い上げ金額8万円以上、来店回数3日以上、コアファン会員さまの定義は年間お買い上げ金額30万円以上、来店回数10日以上としています。前期末のアクティブ会員さまは約520万人、会員さま1人当たりの購入金額は62,000円となっています。人口減少の中、「会員さま」は1%/年の減少を織り込む必要があると考えていますが、既存店への積極投資によるアクティブ会員さま数の維持と、新規出店による新規会員さまの獲得は重要なファンベース戦略の指標となります。一方で、「会員さま1人当たりの購入金額」は前期比2.9%増加と、営業力の強化とファンベース戦略により、会員さまの年間支出の多くの部分を当社でご利用いただける傾向が強くなり、結果として会員さま1人当たりの購入金額の拡大につながっています。

 

お客さまとの信頼関係構築、さらなる生活の質向上、課題解決に向けた取り組みが、ファン会員さま、コアファン会員さまの拡大につながり、付加価値商品販売や各種サポートビジネスの提供によって、会員さまの減少率を上回る会員さま1人当たりの購入金額上昇率を確保し、事業の成長を目指していきます。

 

ファン会員さまが何度もご来店いただくことで生涯価値を拡大いただき、その生涯価値が当社業績に大きく寄与します。コアファン会員さまは、さらにその熱量が高く、強く当社をご支持いただき未来価値を共創いただけるお客さまと考えています。人は想像以上の体験や経験をしたときに周りの人たちにその内容を伝えたくなります。これがいわゆる「口コミ」といわれるもので、ファン会員さま、コアファン会員さまも、その熱量が上がれば自らのお買い物にとどまらず、周りの方々に当社推奨メッセージを発していただけるありがたい会員さまで、その推奨メッセージはいかなるメディアをも上回る最強のメッセージとして価値の連鎖をつくり上げてくれます。「ファンベース戦略」の目的は、お客さま一人ひとりの顧客生涯価値の最大化を目指し、ファン、コアファンの伝える力によりファン会員さまの拡大を目指すことであり、ファンベース戦略は当社の成長戦略における「営業基盤」と考えております。

 

今後、リリースを予定している「新顧客ロイヤルティプログラム」は、デジタル技術で「ファンベース戦略」を支えるプログラムです。現在、EC事業で実施している3段階の「顧客ロイヤルティプログラム」を5段階に拡大し、リアル店舗、EC事業共通の顧客ロイヤルティプログラムとなる予定です。お客さまとのアナログ接点から、高度なデジタル技術でお客さまのファン化、コアファン化を促進、デジタル化による物理的な価値に加え、「あの人に頼んだら大丈夫」「ジョーシンに聞けば間違いない」といった熟練した販売員による情緒的価値の提供により、アクティブ会員さまを拡大、アクティブ会員さまのファン化、コアファン化を目指してまいります。

 

当社のファンベース戦略は、お客さまだけにとどまらず、従業員、お取引先さま、株主さまにもファンになっていただくことを目指しております。特に従業員のファン化は、ファンベース戦略を推進するうえで最重要な部分と考えており、ファンベース戦略を支える従業員エンゲージメントの高度化に取り組んでまいります。

 

ファンベース戦略の原動力である「人財」育成に向けて、2023年4月から自社ビルの一つを改装し「ジョーシンまごころカレッジ」としてオープン、教育環境の整備、強化を進めています。

 

さらに今年度はJoshin接客ロールプレイングコンテスト(全国大会)の初開催を予定しており接客、接遇のレベルアップを目指し、戦略的CS活動を推進してまいります。

ドミナント戦略

当社は、関西・東海・関東・北信越を重点エリアと位置づけ、ドミナント戦略を推進してきました。当社のドミナント戦略とは、新規出店を前提としたものではなく、スクラップアンドビルドも含めた既存店の販売力強化に加え、EC事業、サービスインフラとのシナジー効果を最大限に引き出すジョーシン経済圏の創出と考えております。当社では各店舗の0~5km圏のシェアをすべて把握しており、出店戦略はエリアを面で見るエリア収益ではなく、個別店舗の収益化を前提とした出店政策を実行してまいりました。

 

当社は業界第7位のポジションであり、日本国内に占めるシェアは5%程度、売上高が最も大きい関西エリアにおいてもシェアは20%程度と想定しています。言い換えれば日本国内では9倍以上、関西エリアでも4倍程度の市場が今も存在することになります。日本国内はもとより、ドミナント戦略が最も進んでいる関西エリアにおいても、事業を拡大する余地は十分にあると考えています。関西エリアでのシェアを高い水準まで引き上げ、そのシェアを足掛かりに関西・東海・関東・北信越でのジョーシン経済圏実現を目指します。

 

「JT-2025 経営計画」に託した想い

2030年にあるべき姿「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」になるというビジョンを達成するうえで一番重要な資本は「従業員」であり、このメッセージに込められた「人」とはすべてのステークホルダーと従業員であることを強く意識しなければなりません。


ここから先は、社会環境、社会構造変化への順応性が求められる時代だと考えます。当社を取り巻く環境は残念ながらネガティブな要素であふれていますが、これらをリスクと捉えるのか機会と捉えるのかでアプローチの方法や考え方が大きく異なってきます。当社ではこれらを機会と捉えて、経営に対する「意味」を明確にし、従業員一人ひとりが会社への貢献を実感できる経営、その貢献が会社としての社会貢献につながるものと考えています。課題を一つひとつ解決し、企業として、お客さま、お取引先さま、株主さまをはじめとするすべてのステークホルダーのご支持を確実に獲得すべく、新中計で掲げた成長戦略の着実な実行による「収益力」強化を実現してまいります。