インフラ戦略担当役員メッセージ

人々の環境認識の高まりは、

当社にとって大きなビジネスチャンスであり、

「家庭のカーボンニュートラルの実現」

という社会価値を創出し、企業価値の

向上につなげていけると考えております。

 

取締役 兼 常務執行役員

インフラ戦略担当

横山 晃一

環境への取り組みとその意義について

当社グループは1998年に環境理念を制定し、2000年に本社ビルでISO14001を認証取得して以来、環境マネジメントシステムの構築・運用を通じて、本社機能として営業にかかわる環境負荷軽減と環境パフォーマンス向上への継続的な取り組みを推進してきました。
 近年では気候変動や資源の枯渇、生物多様性の減少といった環境問題が一層クローズアップされ、環境課題への取り組みの重要性や緊急性が高まっていますが、これらの新たな潮流への対応として、2021年に環境理念及び環境基本方針を改定し、新たに環境行動指針とジョーシン・グリーンスマイルチャレンジ2050を新設しました。
 気候変動問題への取り組みは、当社グループの7つのマテリアリティの一つである「地球環境と調和した豊かな社会への貢献」に対する重要な取り組み課題であります。
 「JT-2025 経営計画」において掲げた気候変動問題への取り組み(個別戦略)は、2030年にあるべき姿「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」実現に向けたアクションプランであり、昨年公表した気候変動取り組みロードマップとも合致したものであります。
 次に、当社グループは環境とりわけ気候変動問題に対して先進的に取り組んできましたが、一連の取り組みは同じ業界内では大きな差別化になり、むしろ業界を超えた小売業としてのトップランナーの仲間入りをも目指せると考えております。
 では、経済的・人的コストをかけてまで先進的に気候変動問題に取り組む意義はどこにあるのか?

気候変動問題に先進的に取り組むことによって、投資家や金融機関をはじめすべてのステークホルダーから企業に対する社会的な評価の向上につながります。一例を挙げますと、世界最大規模の資金を運用するGPIFが採用し、ESG (環境、社会、ガバナンス) 評価の高い日本企業に向けて設計されています「FTSE Blossom Japan Index」に選定されました。加えて、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」と「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」の構成銘柄に選定されるなどESG投資先としても評価されやすく資金調達においても大きなメリットとなるほか、自治体からの評価・信頼を得ることで連携を強化でき、さまざまな取り組みに参画することができます。大阪府とは従来より環境をはじめとした包括連携協定を締結しており、昨年度より大阪府からの要請を受けて、脱炭素ポイント制度推進プラットフォームにも参画いたしました。
 さらには企業に対するイメージアップやブランディング強化によって当社グループのファン層が増加し認知度向上や購買喚起による売上アップなども期待できることから、中期経営計画で掲げている営業戦略とリンクしています。
 また環境課題に関心の高い人財から共感・評価され、有能な人財獲得を通じて企業活動の持続可能性向上をももたらします。社内に目を向けますと、従業員の共感や信頼を得ることができ、モチベーションの向上につながっていると考えます。
 中長期で考えた時に気候変動問題に取り組むことは、近い将来、企業にとってごく当たり前の時代になっていくことから今、先進的に取り組むことに大きな意義があります。

事業所のカーボンニュートラル実現に向けて

当社グループは家電販売を主とする小売業であり、排出するGHG(温室効果ガス)排出量の大半が店舗における電力の使用によるものです。

そのため各事業所で使用している電力の再エネ化(再生可能エネルギーへの転換)を最優先に考え、この2年間着実に実施
してきました。

2023年3月末時点で、自社にて直接受電契約をしている事業所において、再エネ化が完了している事業所の比率は97.4%で、残り4事業所を残すのみとなりました。またテナントを含む全事業所における再エネ化の比率は59.4%であり、100%再エネ化の達成目標としている2040年より前倒しで達成できるように、賃貸人との対話による再エネ導入交渉を本格的にスタートいたします。

さらに、自家発電・自家消費による自社エネルギー自給率の向上を目的に設置可能なすべての事業所に太陽光発電システムの設置を精力的に進めてきました。
 2023年3月末時点で60事業所に設置が完了し、本年度中には残りのすべての事業所に設置が完了する予定です。
 次年度以降は、当社の事業所敷地内に太陽光パネルを設置する場所がなくなることから、敷地外にパネルを設置するオフサイト型コーポレートPPAの導入を計画しています。

当社事業を通じた「家庭のカーボンニュートラルの実現」

カーボンニュートラルというと、国の施策や企業の取り組みに注目しがちですが、最終的には一人ひとり、個人の行動が変わらなければGHGの排出量を減らすことはできません。
 再エネ由来の電力を使用、あるいは電気自動車への買い替えなど将来に向けて個人の価値観が徐々に変わりつつあるなかで、世の中の環境に対する関心度の向上、人々の環境認識の高まりは、当社グループの環境への取り組みを通じて、大きなビジネスチャンスとして捉えており、「家庭のカーボンニュートラルの実現」という社会価値を創出し、企業価値の向上につなげていけると考えております。
 当社グループは従来より継続して取り組んできた環境配慮型製品の販売を一層強化することで創エネ、蓄エネ、省エネ性能の高い製品の普及を促進してまいります。
 また日本政府が推進する「2050年カーボンニュートラル」実現に向け、自動車メーカー各社がEV(電気自動車)比率を上げる計画の公表や軽EVのヒットなど、EV普及とその関連ビジネスが大きくクローズアップされている中、EV充電設備の需要は確実に高まっていくと思われます。
 当社グループにおいてもすでに、EVコンセント工事を取り扱ってきましたが、本年度より本格的にV2H(電気自動車充放電設備:Vehicle to Home)の取り扱いも新たに開始しました。
 今これらの取り組みを実施しておくことにより、新たなEVビジネス・環境ビジネスに参画できるチャンスが生まれると考えます。
 さらには3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加え、新たにサーキュラーエコノミーの推進による循環型社会の構築にも積極的に取り組んでいくことで、当社のビジネスが「家庭のカーボンニュートラルの実現」につながり、さらには日本のカーボンニュートラルの実現に貢献できると考え、それぞれ目標を持って販売に取り組んでまいります。

さまざまなイニシアティブ・外部イニシアティブへの参画について

世界レベルで企業などの環境への取り組みを評価し、情報公開するCDP気候変動プログラムへの回答において当社グループは、2021年度の「C」スコアから2022年度は2ランクアップの「B」スコアを獲得しました。2022年度のアジア企業全体の平均スコアは「C」スコアです。
 CDPの「B・B-」評価はマネジメントレベルとされ、「気候変動課題に対する協調的行動を取ることが可能でGHG排出量削減に向けた具体的な取り組みができている」ことを評価されたものです。
 さらに意欲的なGHG排出量削減の取り組みとして、SBT認定を取得すべくSBTイニシアティブ【CDP・国連グローバルコンパクト・WRI(世界資源研究所)・WWF(世界自然保護基金)の4つの機関が共同で運営している国際イニシアティブ】に対し、 SBTを策定することを宣言し、科学的根拠に基づいたGHG排出量削減目標を策定、そして2023年3月にSBT事務局へ申請を行いました。
 企業が設定したSBT目標がSBTイニシアティブの要求水準を満たしていることで認定されます。

当社グループはSBTを2050年カーボンニュートラルの実現へ向けた方向性を示す道筋とし、全社的な取り組みをなお一層進めるとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。
 国際イニシアティブ・外部イニシアティブへの参画・取り組みについては、CDP・SBTをはじめ、TCFD提言への賛同と情報開示、気候変動イニシアティブ(JCI)への加入、経済産業省が公表したGX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想に基づき設置された「GXリーグ」に対して、今春正式に参画企業への移行手続きをいたしました。
 これらのイニシアティブへの積極的な参画・取り組みは、気候変動問題に先進的に取り組む当社グループの企業姿勢をすべてのステークホルダーに示すものであり、企業に対する信用・企業イメージの向上やブランディングにも非常に効果的であり、企業価値の向上につながるものと確信しております。
 また、活動を通じてメディアに取り上げられる機会も生まれ、さまざまな業界と接点を持つことで、新たなビジネスにつながることを期待しています。