人財戦略の基本的な考え方

当社グループは2050年を見据えて「人と社会の未来を笑顔でつなぐ」を経営理念と定め、その中間点である2030年のあるべき姿として「地域社会の成長を支え、人と環境の未来に貢献する企業」を目指しています。そして、「高齢社会のレジリエンス強化支援」と「家庭のカーボンニュートラルの実現」の2つの社会価値の創出により、サステナブルな社会の構築に貢献する経営を推進しています。
当社グループの人財戦略は、普遍的な価値観である「人権尊重」と人財のポテンシャルを最大限に引き出す「健康経営」を基盤に据え、D&Iを戦略の柱として、多様な人財の確保・育成に取り組んでいます。お客さまの多様なニーズに応えられる【人財の確保】、新たな成長事業を支える【人財の育成】、【従業員エンゲージメントの高度化】の取り組みを“新たなお客さま満足=新たなビジネス”の創出につなげ、企業価値の向上に結びつけていく人財戦略は、サステナブルな社会への貢献を目指す経営戦略と一体であると考えています。

人財戦略イメージ

多様な視点を企業の力とするために、すべての従業員が最高のパフォーマンスを発揮できる労働環境を整備し、“働きやすさ”を“働きがい”へ、そして“従業員オーナーシップ”へ、さらには“従業員エンゲージメント”の高度化へとスパイラルアップさせ経営理念の実現につなげていきます。

人財戦略「4つのキーワード」

「働きやすさ」

多様な働き方が受容される職場環境の整備

従業員が一人ひとりに合った柔軟な働き方を選択でき、また、その働き方が受容される職場環境を整備いたします。さまざまな価値観やライフスタイルをもつ従業員が「働きやすさ」を感じながら就労継続できる制度や環境を整えてまいります。

  • 介護相談窓口の運用開始(24時間365日、無料で電話相談可)
  • 育児短時間勤務制度利用期間を子が中学校卒業までに拡大
  • 育児短時間勤務制度勤務シフトを多様化
  • 介護短時間勤務制度の勤務シフトを多様化
  • 休日保育費の補助制度新設

<2025年度>

  • 不妊治療サポート制度整備

「従業員オーナーシップ」

自律性をもった働き方の促進

チームと自らの役割を認識し、当事者意識をもって向き合う姿勢をもつことで、個人のみならず組織のパフォーマンス向上につながります。自ら学び成長する機会として、各階層での研修を実施しております。

  • 入社3年目社員対象「セルフリーダーシップ研修」によるキャリアオーナーシップの確立
  • 50歳を迎える社員対象「キャリアプラン研修」による中高年期のキャリア形成支援
  • 通信教育の推奨と修了時の補助金(費用の75~100%)支給

 <2024年度>

  • 女性のキャリア意識形成フォーラム開始

「働きがい」

対話の促進によるモチベーションアップ

十分なコミュニケーションにより上司からの期待が本人に伝えられ、自らの役割を明確に認識すること、そして役割に応じて適切に評価され、公平な機会を与えられることが、働きがいにつながります。

  • エンゲージメント・サーベイ(2023年度導入)結果をきっかけとした現場の対話促進
  • 従業員の意見を基にした多様な働き方の構築
  • マネジメントレビュー面談の実施
  • 自己申告書による適材適所配置
  • 人事制度における勤務地選択による昇格制限の撤廃(一部緩和)
  • 役職定年制度の改定:役職定年時の資格等級を維持

<2025年度>

  • ベテラン層の働きがい創出のための制度整備

「従業員エンゲージメント」

信頼関係に基づく貢献意欲を育む

従業員が会社の存在意義や方向性に共感できれば、従業員と会社の信頼関係は深まり、従業員エンゲージメント向上につながります。当社グループは、従業員エンゲージメントの向上による新たなお客さま満足の創出を持続的な成長と企業価値の向上につなげてまいります。

  • ダイバーシティ・カウンシルを通じた従業員の経営参画による従業員エンゲージメントの向上
    (全社Webアンケート「J‑Voice」や社内コミュニティによる意見発信、カウンシルによる多様な働き方の企画・立案)
  • エンゲージメントサーベイ活用推進チームの編成、取り組み開始

 <2024年度>

  • 社内コミュニティ拡充

経営理念の実現に向けた人的資本KPI

あるべき姿とのギャップを埋めるために改善が求められる項目についてKPIを設定し、多様な人財が活躍できる働きがいのある労働環境の実現に取り組んでいます。
【ギャップが大きい項目】
 • 女性管理職比率(課長級以上)・女性初級管理職比率(課長代理以上)

  女性の登用は課題ですが、管理職候補となる女性主任は増えています。機関設計の変更により女性取締役比率は50%となりました。
 • 男女賃金差(正社員)
  4割以上の女性社員が給与減額を伴う勤務地限定コースを選択していることや、女性管理職が少ないことが賃金差の主な原因です。

経営戦略と人財戦略の連動

当社グループは、ダイバーシティ&インクルージョンを柱とする人財戦略により、個の力を組織のパフォーマンス向上につなげ企業価値を向上させます。その結果得られた財務・非財務資本を再投資し、新たな価値を創出する好循環を創り出していきます。

2024年度の新しいアクション

  • モバイル・サポートビジネス領域におけるキャリア形成や育成体制の整備
  • ベテラン層の活躍支援(キャリア支援、短時間・短日数勤務制度導入)
  • 不妊治療と仕事の両立支援スタート

動的人員計画 求める人財像:「2つの社会価値」を提供するイノベーティブな人財

2030年のあるべき姿とのギャップを埋めるための動的な人員計画です。経営戦略と連動させて計画し、社会の変化や計画の進捗状況に合わせて修正を加えながら、求める人財を確保・育成していきます。

社内環境整備方針

当社グループでは、多様な人財の活躍こそが、新たな事業価値を捉えて持続的成長につなげていくための組織力の源泉であると考えています。「生活インフラのHub」となって社会に貢献することを通じて、当社グループの企業価値を向上させるためには、社会が抱える課題やニーズを捉え新たな価値を生み出すことが必要です。そのために当社グループでは、一人ひとりが公平な機会を与えられ、心身ともに健康で働きがいを感じながら活躍できる社内環境を整備していきます。
そして、多様な人財の自由な発想から生まれるアイデアを新たなビジネスに結実させ、サステナビリティ経営を推進していきます。

人的資本投資

未来価値を生み出す人への投資を従来より重視してきました。採用・教育や賃上げのみならず、働きがいと働きやすさにつながる投資や、システム導入により労力を省き生産性向上につながる投資についても人的資本投資と定義しています。

人的資本投資の一つとして、2024年度より従業員向けの業績連動型株式インセンティブ制度を導入しました。中長期的な企業価値向上に従業員が自ら携わる意識を高めるものです。
現在は人財の力を最大限に引き出し未来価値を生み出すための先行投資を行っています。今後も継続的に投資することにより、将来のリターンを生み出していきます。

人的資本投資に対する明確なリターンは現状描けていませんが、人的資本投資と売上総利益率には一定の相関関係が見られます。

 

・ 人的資本投資額
  2023年度42.9億円→2024年度59.8億円
  増加要因:賃上げやシステム投資など


・ 人的資本Ro(I ISO30414の生産性指標)
  算出式=
 [売上ー{販管費ー(給与及び手当+賞与+法定内外福利厚生費)}]
  ÷(給与及び手当+賞与+法定内外福利厚生費)ー1

エンゲージメントサーベイを活用した従業員エンゲージメント向上の取り組み

従業員のこころの状態をエンゲージメントサーベイを活用して見える化し、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

 

エンゲージメントサーベイ

働きやすく働きがいのある職場環境をつくるための取り組みがどの程度進んでいるのかをチェックする仕組みとして、また各部署のマネジメント支援ツールとして、2023年4月にエンゲージメントサーベイを導入しました。

課題を踏まえた認識

60代正社員のエンゲージメント改善が課題でした。2025年4月に柔軟な働き方としてシニア短時間・短日数勤務制度を導入し、ワーク・ライフ・バランスのスコアが改善しています。また、60歳以降の役割を明確化するキャリア面談の運用を始め、「やりがい」が1ポイント、「ミッション・ビジョンへの共感」が2ポイント改善しました。
また、エンゲージメント総合スコアは来店客数・レジ客数・売上データに相関が見られます。エンゲージメントは組織のパフォーマンスとつながっています。

※小売スタンダード平均スコア:66
※家電販売・サポート事業を手がけるグループ全社の従業員約8,000人対象(非正規従業員を含む)
※サーベイツール:株式会社アトラエの「Wevox」
※総合スコアは長期インセンティブとして業務執行取締役・執行役員の株式報酬に反映されます。

エンゲージメントサーベイ活用推進チームの取り組み

各エリアより1店舗をエンゲージメント向上に前向きに取り組む推進チームとして選出。各推進チームにつき1名の推進リーダーが、エンゲージメント向上のための意見交換をする推進リーダーミーティングに参加しています。推進リーダーを起点とし、エンゲージメントについての理解を全社に広めていきます。